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【インタビュー】デンソー社員が語る「思考調達」体験──問いを深めるプロセスが、新しい視点を生む

2025年 10月 29日

 

COMMONZが提供する「思考調達」は、専門に閉じないアカデミアから考え方(思考)や捉え方(アプローチ法)を“調達”し、自社の課題解決や新規事業創出につなげる新しいスタイルのコンサルティングサービスです。今回は、株式会社デンソー様に当サービスをご活用いただいた際の体験談を、当時社会イノベーション事業開発推進統括部で新規事業創出を担当されていた島津様、山田様にお聞きしました。

思考調達を活用されたきっかけを教えてください
島津:当社はトヨタグループの1社として、中核事業である自動車の電動化・自動化・車載半導体事業の強化に加え、データを活用した新サービス開発にも挑戦しており、我々も当時サービス開発を担当していました。ただ、どうしても発想が既存の延長線上に偏ってしまう課題がありました。

山田:そんな時、COMMONZが提供する「プレ思考調達(思考調達のLight版)」を体験。「社会に対してイノベーションを起こすには、技術だけではなく、もっと広い視点でものごとを捉えなければ」という気づきを得て、思考調達の活用に至りました。

思考調達では具体的にどのようなことを行いましたか?
山田:大きく2つのフェーズで構成されていました。
1.キュレーションフェーズ:キュレーターであるCOMMONZの古谷さんが、課題設定やターゲット整理をリードし、私たちに伴走しながら新規事業としての方向性や価値を最大化するための「問い」を設計。その上で、テーマに最適なアカデミア2名を提案いただきました。
2.アカデミアとの思考調達フェーズ:アカデミアとデンソー社員、COMMONZが対話を重ね、合計4回のセッションを実施。立場や事業領域を超えて議論し、問いを深めることで、当初は見えていなかった課題や可能性に気づくことができました。

得られた成果や変化はありましたか?
島津:最も大きな成果は「ビジネスの本質」に立ち返れたことです。社内ではどうしても技術にフォーカスした議論になりがちですが、愛着や楽しさといった人の本質に寄り添うサービスこそが価値を生む、という共通理解が得られました。また、社内で新しい視点を持つ「越境人材」が生まれたのも成果です。単発の取り組みではなく、鍛錬を重ねて会社全体に浸透させていく必要性も強く感じました。
山田:印象的だったのは、こちらの前提をそのまま受け取るのではなく、「それは本当にそうなのか?」と問い返してくれたことです。普段の社内議論ではなかなか出てこない角度からの質問で、思考が深まりました。また、アカデミアの方が一方的に話す場ではなく、こちらも一緒に考えるプロセスだったのが良かったですね。議論を重ねるうちに、当初の課題設定そのものを見直す必要があると気づけました。

従来のコンサル企業や産学連携と、思考調達との違いは?
山田:一般的なコンサルティング企業に依頼すると、特定の課題に対して「答えを提示される」ことが多いですが、「思考調達」は答えではなく“問い”を一緒に考えます。通常の産学連携のように大規模で時間がかかる仕組みでもなく、もっと柔軟で実践的です。
また、思考調達では、キュレーターが私たちとアカデミアの間に入り、企業側の言葉と研究者の言葉をつないでくれる「翻訳者」としての役割を担ってもらえることが大きいです。デンソーを前提とした考えを汲み取った上で、アカデミアとの対話をリードしてくれるため、専門領域が異なるアカデミアの方とも本質的な議論ができたと感じます。
島津:通常、我々がアカデミアを探すと、専門技術的な領域のピンポイント=「点」の議論になりがちです。一方、思考調達では、専門分野をお持ちでありながら、それを越境した問いが立てられる。1対1ではなく、1対Nで対話するような「面」で物事を捉えられる感覚があり、我々の常識を客観視できる点が大きな違いでした。

今後どのように思考調達を活用していきたいですか?
島津:今回の取り組みでやり残したと感じるのは、自社の研究部門を巻き込み、中長期で知的財産を活かす方法を探ることです。思考調達は「やりたい」ではなく「やらねばならない」ものと捉えています。継続的に活用し、会社全体での新規事業創出につなげていければと考えています。

思考調達を検討している企業の方へのメッセージをお願いします
島津:新規事業に取り組むと、どうしても身近な延長線で考えてしまう。そのような時に、自社ではアクセスすることが難しい越境人材との対話は大きな刺激になります。また、新たな視点を持った越境人材の社内育成にも繋がりますので、体験する価値があると思います。
山田:答えをもらう場ではなく、自分たちの問いを深める場だという姿勢で臨めば、大きな収穫があると思います。私は思考調達を体験したことが一つのきっかけとなり、より自分が会社に貢献できる部署に異動することになりました。新しい視点を持ったことで自身と向き合い、問いを立てられた結果だと考えています。企業で課題を抱えている方にはぜひ一度体験してほしいです。

現在の山田さんの活動はこちらをご覧ください
https://note.com/aistds/n/n2b1f7e274fb4